「お受験」という言葉で一般の人が思い浮かべる小学校受験は、専業主婦のママがつきっきりで教室に通い、合格を目指すといったイメージが強いかもしれません。
しかし、数は少ないながら、両親が共働きやシングルマザーなどの理由で、保育園に通いながら小学校受験に合格した子もたしかに存在します。
今回の記事では、保育園に通う子とその両親が小学校受験に向かうための工夫や成功例などを取り上げたいと思います。
1.小学校受験、保育園からと幼稚園からではどう違う
小学校受験では、塾なしで合格する子も一部いますが、一般的には塾や幼児教室に通う子がほとんどです。
塾や教室の時間帯は平日の午後~夕方に設定されていることも多く、共働きでフルタイム勤務の人が大部分の保育園児の両親は塾や幼児教室に連れていけないことも。
また、小学校受験では学力だけではなく、運動やお絵かき、洋服をたたむなどの生活習慣から昔話のあらすじまで幅広い内容を見られますが、これらを塾の時間だけで身につけたり、受験の直前に詰め込むことは不可能で、家庭でコツコツと教えていかなければなりません。
平日、園が終わってからの時間は圧倒的に幼稚園よりも保育園の方が短いため、毎日やるべき課題をこなしていくのは親子ともに相当の努力が必要となります。
さらに、私立や国立の小学校では、入学後も1か月程度毎日保護者の送り迎えが必要だったり、保護者会や参観・行事に親が参加することが頻繁にあり、そんなに仕事の休みが取れないのではないか…という懸念もあります。
ただ、上記のような状況も、社会の変化によって徐々に変わりつつあります。
ある幼児教室では、10年前にはフルタイムで働くママは1人もいなかったのが、近年はクラスに数人ずつに増えたとのこと。
それに合わせて、保護者の参観が必要なクラスは土日に行う塾や幼児教室、小学校受験に向けて特化されたカリキュラムを組んでいる保育園なども増えてきています。
2.小学校受験「保育園児ならではの苦労と工夫」体験談
実際に保育園から小学校受験に挑戦したファミリーは、どのように困難な点をクリアしていたのでしょうか。
以下にいくつか体験談を紹介します。
「塾の日は、保育園へのお迎えと塾への送りは祖父母やシッターさんに頼んでいました。私は仕事が終わったら駆けつけて、子どもの様子を見るようにしていました。保護者の参観が必要なクラスもあるので、祖父母にメモをとってもらったり、先生に許可を取って動画を撮影してもらい、わが子の進度把握につとめていました」
「平日の保育園お迎え時間は早くて18時。夕食を作って食べさせ、お風呂が終わると、なかなかプリントなどに取りかかることができませんでした。そこで、ペーパーは朝早く起きてやるように。出かける時間が決まっているので、集中して取り組むことができました」
「わが家の場合、幼児教室の通常のクラスはなんとか通える時間帯だったのですが、夏期講習や冬期講習といった午前中から始まるクラスへの送迎に苦労しました。マンションで仲良くしている共働き家庭と協力して、交代で送り迎えをして乗り切りました」
「本番が迫ってくると、説明会や併願校の受験などで有休を使ってしまいます。子ども本人のためにも、親が欠勤にならないためにも、体調管理には本当に気を使いましたね」
3.保育園から小学校受験をするメリットは
「保育園児は不利」「保護者が働いていると不合格になりやすい」といった噂を耳にすることもありますが、それは時代とともに変化しつつあるようです。
小学校受験では、働くママや保育園に通う子だからこその有利な点やメリットもあります。
自立・協調能力が高い
小学校受験では、数や言葉などの学力だけでなく、集団で遊びを進めるなどの行動観察も、合否を決める重要なポイント。
そこで周囲の子と協力して作業を進めたり、ママや大人に頼ることなく自分の意見を言えたり、周囲の子のおしゃべりに影響されずやるべきことをやるなど、「協調」「自立」「自律」といった点に関しては、保育園に通っている子はみなしっかりとできるのではないでしょうか。
ビジネスでの経験が生かせる
よく「小学校受験は親の受験」などと言われます。
高校受験や大学受験と違い、小学校受験では、面接時の両親の態度や教育に対する姿勢なども重視されるからです。
その点、共働きのママは社会経験が豊富で、ビジネスマナーが徹底できていることも多いもの。
書類をきっちりと仕上げて期限までに提出する、質問に対し要点をおさえて明確に答えるなど、職場での経験が生かされるチャンスは非常に多くあります。
4.まとめ
小学校受験は現在でも狭き門であることは確かですが、近年の少子化により、よりわが子に合った学校を選んで入りやすくなってきたことも事実です。
保育園に通いながらの受験は、時間の制約など大変なことも多いですが、主体的に優先順位をつけて動いていくことで、ぐっと合格は近づきます。
そして、働くママはきっとその能力は高いはず。
ぜひ自信を持って家族で取り組んで下さいね。