日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
  • 日本の学校教育ってどうなんだろう?
  • 詰め込み教育、ゆとり教育って何だったのだろう?
  • 昔の教育と今の教育どっちがいいのだろう?

こういった疑問に答えます。

日本の学校教育の基準は「学習指導要領」です。日本の教育の歴史は、学習指導要領の歴史と言ってもいいです。この学習指導要領について理解しようとしても、ちょっと調べただけでは全体的な流れがつかめません。
僕もずっと「ゆとり教育」平成10年頃に教育を受けてた人のことだと誤解していました。

そこでこの記事では、学習指導要領の歴史について、その改訂内容と実施した後に起こった出来事などの時代背景を織り込みながら、今までの教育の歴史をわかりやすく解説します。


この記事を読めば、日本の教育が紆余曲折しながら現在につながってきている理由が理解できます。



学習指導要領とは何かについては、「学習指導要領って何?何のためにあるの?法的立ち位置と作成の目的をやさしく解説【学校教育の基準】」で詳しく解説しています。





初刊行:教育内容のガイドラインとして作成

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】第二次世界大戦後のGHQの占領下にあった日本

改訂日

1947年(昭和22年)

概要

1947年に「教育基本法」と「学校教育法」が相次いで成立し、新しい学校制度が定められました。その新しい学校において教授さ れ る具体的な教育内容を示 すガイドラインとして、アメリカのCourseofstudyを参考にした最初の「学習指導要領・試案」です。

告示ではなく「試案」。「手引き」のようなもの

現場の先生の創意工夫に任せる


刊行内容

・一般編が刊行
・各編刊行
家庭科を設けた
自由研究を設けた
体育科編が刊行
各教科の授業時数を改めた

小学校 国語、算数、理科、社会、音楽、図画工作、体育家庭自由研究
中学校

<必修科目>
国語、数学、理科、社会、音楽、図画工作、体育、職業

<選択科目>
外国語、習字、職業、自由研究

高等学校

<必修教科>
国語、社会、体育

<選択教科>
国語、書道、漢文、社会、数学、理科、音楽、図画、工作、外国語、実業

緑字は新しく追加された教科

刊行後の成行き

当初は、アメリカ式の教育理念にもとづいた経験主義、児童中心の現場の創意工夫に任せる教育観でした。しばらくすると、父母から、子どもの読み書き能力が下がっている等といった不満が出るようになり、アメリカ式の教育は日本に合わない。もっと知識を教えるべき。という声が高まってきました。


第1回全面改訂:「試案」として刊行

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】サンフランシスコ講和条約により、連合国による占領は終わり日本国は主権を回復

改訂日

1951年(昭和26年)

概要

最初の学習指導要領は,短期間で作成されたもので不十分だった為、その点を整備する形で改訂が進められた。

この改訂から「教育課程」という用語が用いられる


刊行内容

総授業時数を改正した。
・教科を4つに分類した。
毛筆習字は,国語の一部として4年生から実施にした。
自由研究教科以外の活動とした。
道徳教育の役割を各教科にて明確にした。

小学校

<学習の基礎となる教科>
国語、算数

<社会や自然についての問題解決を図る教科>
理科、社会

<主として創造的な表現活動を行う教科>
音楽、図画工作、家庭

<健康の保持増進を図る教科>
体育

中学校

<必修教科>
国語、数学、理科、社会、音楽、図画工作、保険体育職業・家庭

<選択教科>
外国語、職業・家庭

高等学校

国語、数学、理科、社会、保険体育芸能家庭、外国語、職業工業商業水産家庭技芸その他特に必要な教科

緑字は新しく追加された教科

刊行後の成行き

この改定でも,経験主義や(生活)単元学習に偏り過ぎる傾向があり、各教科のもつ系統性を重視すべきではないかという問題がありました。また、授業時数の定め方に幅があり過ぎて、地域による学力差が目立ち基礎学力の充実が叫ばれるようになりました。

1950年の朝鮮戦争で日本の景気は大きく回復していき、1955年になって日本は高度経済成長期へと入っていきました。経済的にも復興してきているこの時期に児童中心の教育による子どもたちの学力低下が問題になりました。
また、1950年代は大都市を中心に進学を目的とした学習塾が生まれてきた時期でもありました。

さらに、1957年には、ソビエト連邦が世界初の人工衛星「スプートニク」の打ち上げに成功するという事件が起こりました。ソ連と対立していたアメリカなどの西側諸国は大きなショックを受け、「ソ連に負ける」という危機感から、基礎学力の充実と科学技術教育を向上し、国際的な技術革新に負けない国にするための人材養成を求める声が高まってきました。


第2回全面改訂:「告示」となり法的拘束力を持つ

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】ソビエト連邦による人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げ成功で西側諸国に衝撃が走る(スプートニク・ショック )

改訂日

1958年~1960年(昭和33~35年)

概要

基礎学力の充実、科学技術教育の向上、地理・歴史教育の充実などがされ、日本式知識伝達型教育が復活した。

「告示」となり法的拘束力を持つ

基礎学力の充実、科学技術教育の向上等(詰め込み教育のはじまり)

道徳の時間の新設


実施日

1961年(昭和36年)4月 実施(小学校)
1962年(昭和37年) 実施(中学校)
1963年(昭和38年) 実施(高等学校)

刊行内容

道徳の時間を特設して,道徳教育を徹底して行うようにした
・基礎学力の充実を図るために,国語算数の授業時数を増やした
・科学技術教育の向上を図るために,算数理科充実を図った
地理歴史教育を充実改善したこと
・情操の陶冶,身体の健康,安全の指導を充実したこと
小・中学校の教育の内容の一貫性を図った
・各教科の目標及び指導内容を精選し,基本的な事項の学習に重点を置いた
・教育課程の最低基準を示し,義務教育の水準の維持を図った

小学校

<教科>
国語、算数、理科、社会、音楽、図画工作、体育、家庭

<教科以外>
道徳特別教育活動

中学校

<必修教科>
国語、数学、理科、社会、音楽、美術、保険体育、技術・家庭

<選択教科>
外国語、農業工業商業水産、家庭、数学、音楽、美術

<教科以外>
道徳特別教育活動

高等学校

<教科>
国語、数学、理科、社会、保険体育、芸術、外国語、家庭、職業、工業、商業、水産、その他特に必要な教科

<教科以外>
特別教育活動

緑字は新しく追加された教科

刊行後の成行き

この改定により、大規模な学歴獲得競争を生み出すことになりました。
この時期文部省は企業横断的な職業能力を養える環境を作り上げようとしていました。
しかし産業界は、高度な職業能力は必要とされず、一般的な能力を新卒労働力にもとめ、それが学校教育の内部にも偏差値に基づく能力主義が生成され、延いては学校間序列を生み出していくことになりました。

団塊の世代(1947年〜1949年生まれの世代)が高校進学年齢となる1961年頃になると、学歴獲得競争は熾烈を極めていくこととなりました。公立学校では補習が行われ、学習塾も数多く作られていくことになります。

さらには、1966年頃から東京都で学校間の格差をなくすために用いられた「学校群制度(本人の希望にかかわりなく合格者を学校群内各校に振り分ける)」という制度が導入されたことにより、都立日比谷高校などの都立名門校への進学実績が落ち込み、それに替わって国立や私立高校、その附属中学が人気を集めることになっていきました。


第3回全面改訂:教育内容のさらなる向上・増加

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】高度経済成長を遂げたばかりの日本で日本万国博覧会(大阪万博)が開催

改訂日

1968年~1970年(昭和43~45年)

概要

1964年には東京オリンピックなどもあり、国民生活の向上,文化の発展,社会情勢の進展はめざましいものがありました。日本の国際的地位も向上し果たすべき役割もますます大きくなってきました。そこで、教育内容の一層の向上を図り、時代の要請に応えるための改善を行う必要がでてきました。
この時期、文部省は行き過ぎた受験競争への警戒を強めていましたが、一方で経済発展や科学技術の向上によって教科内容は、より高度になってきていました。

教育内容のさらなる向上・増加(最も学習量が多くなった)


実施日

1971年(昭和46年)4月 実施(小学校)
1972年(昭和47年) 実施(中学校)
1973年(昭和48年) 実施(高等学校)

刊行内容

・小学校の教育は,国民育成の基礎を養うものであるとした。
・人間形成の上から調和と統一のある教育課程の実現を図った
・時代の進展に対応した教育内容の導入(算数における集合の導入等)

小学校

<教科>
国語、算数、理科、社会、音楽、図画工作、体育、家庭

<教科以外>
道徳

中学校

<必修教科>
国語、数学、理科、社会、音楽、美術、保険体育、技術・家庭、

<選択教科>
外国語、農業、工業、商業、水産、家庭、その他特に必要な教科

<教科以外>
道徳、特別活動

高等学校

<教科>
国語、数学、理科、社会、保険体育、芸術、外国語、家庭、農業、工業、商業、水産、音楽美術看護理数、その他特に必要な教科

<教科以外>
特別活動

緑字は新しく追加された教科

刊行後の成行き

この改定は、「教育内容の現代化」がスローガンとなり、教える内容はさらに増えました。これまで上の学年で勉強していた内容を下の学年で扱うようにするなどして、盛りだくさんになっていきました。内容が盛りだくさんになることで、一つの内容を教える時間はより短くなっていきました。

1973年には、第4次中東戦争でアラブ産油国が石油輸出を停止。原油価格が高騰しました(第一次オイルショック)。世界に衝撃を与えたこの危機は、20年近く続いた日本の高度経済成長を終わらせ大不況をもたらしました。
不況による先行きに対する不透明感は、親たちの不安をかきたて「学歴だけでも確保しておこう」と子ども達を学歴獲得競争へと追い込んでいきます。当時、高校進学率は90%を超えており「高校だけを卒業しても仕方がない、最低でも大学へ」という親たちの心情が、受験競争を激化させていきました。
小学生の塾通いもこの頃から目立ち始めました。

この学習内容の増加、高度化は、授業の進度が早すぎて一部の子どもしかついていけないという点で「新幹線授業」と批判されました。さらには学校の授業が理解できている子どもは、小学校で7割、中学校で5割、高校で3割程度しかいないという意味の「七五三」という言葉まで生まれました。
「詰め込み教育」は、「落ちこぼれ」を生み出し社会的な問題へとなっていきました。


第4回全面改訂:ゆとり教育のはじまり

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】1978年に新東京国際空港(現・成田国際空港)開港

改訂日

1977年~1978年(昭和52~53年)

概要

加熱した受験競争、落ちこぼれの続出の反省から、授業時間数が削減され、教師の自発的な創意工夫を加えた学習指導(ゆとりの時間)が導入されました。

教育内容を精選

各教科の標準授業時数を削減


実施日

1980年(昭和55年)4月 実施(小学校)
1981年(昭和56年) 実施(中学校)
1982年(昭和57年) 実施(高等学校)

刊行内容

・道徳教育や体育を一層重視
・教育内容を精選し,創造的な能力の育成を図る
・各教科の標準授業時数を削減
教師の自発的な創意工夫を加えた学習指導が十分展開できるようにした

小学校

<教科>
国語、算数、理科、社会、音楽、図画工作、体育、家庭

<教科以外>
道徳、特別活動

中学校

<必修教科>
国語、数学、理科、社会、音楽、美術、保険体育、技術・家庭

<選択教科>
音楽、美術、保健体育、技術・家庭、外国語、その他特に必要な教科

<教科以外>
道徳、特別活動

高等学校

<普通教育>
国語、数学、理科、社会、保険体育、芸術、外国語、家庭

<専門教育>
外国語、家庭、農業、工業、商業、水産、音楽、美術、看護、理数、体育英語、その他特に必要な教科

<教科以外>
特別活動

緑字は新しく追加された教科

刊行後の成行き

この改定のキーワードは、「ゆとり」でした。
国語、算数、理科、社会がそれぞれ週1時間ずつ削減されました。中学校では、英語の授業が週に1回減りました。時間は減って教科書も薄くなったのですが、教える内容はそれほど減らなかったので、教科書の記述が減り、かえってわかりにくくなりました。また教える内容はほぼ減っていないので、練習問題をする時間が削られました。中学校の英語の授業時間削減は、英語能力の低下として問題となってしまいます。

今回の改訂が行われた1977年は、大学の共通一次試験が導入された年でした。
この共通一次試験により、高校入試の「偏差値」が大学入試にも浸透していくことになりました。
こうして、大学入試、高校入試、私立中学校入試、私立小学校入試という受験システムが完成し、都市部を中心に、私立中学受験をめざす小学生が増える結果となりました。

さらに、団塊ジュニア(1971年〜1974年生まれの世代)が中学入試や高校人試の年齢に達すると、受験競争はより一層加熱していきました。
その一方で、底辺校では校内暴力の頻発やいじめの増加、不登校などの問題がより顕在化するようになってきました。

週に1時問「ゆとり」の時間が新設されましたが、国からの指示はなく、学校の裁量による指導用として自由に使っていい時間であった為、結果として多くの学校では、授業の補習用の時間として使われることとなってしまいました。
結果として「ゆとり」路線はうまく機能せず、社会問題となっていた「受験競争」や「落ちこぼれ」の解決にはほとんど影響しませんでした。


第5回全面改訂:心豊かな人間の育成

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】昭和が終わり、平成の時代に

改訂日

1989年(平成元年)

概要

科学技術の進歩と経済の発展は,物質的な豊かさを生むとともに,情報化,国際化,価値観の多様化,核家族化,高齢化など,社会の各方面に大きな変化をもたらし、今後ますます拡大し,加速化することが予想されました。
このような社会の変化に対応する観点から教育内容の見直しが行われました。

小学校に生活科を設定

学校週5日制の導入


実施日

1992年(平成4年)4月 実施(小学校)
1993年(平成5年) 実施(中学校)
1994年(平成6年) 実施(高等学校)

刊行内容

・小学校1、2年生のに社会及び理科は廃止。生活科を設定した
・小学校1年生の生活科は102単位時間,2年生は105単位時間をそれぞれ充てた。
・小学校1年生の国語の授業時数を34単位時間,2年生は35単位時間それぞれ増やした。
・中学校の技術・家庭の選択領域「情報基礎」でプログラミングを学ぶことについて述べられた
・高等学校の数学の選択領域「数学A」「数学B」でプログラミングについて述べられた

小学校

<教科>
国語、算数、理科、社会、生活、音楽、図画工作、体育、家庭

<教科以外>
道徳、特別活動

中学校

<必修教科>
国語、数学、理科、社会、音楽、美術、保険・体育、技術・家庭

<選択教科>
外国語、必修教科、その他特に必要な教科

<教科以外>
道徳、特別活動

高等学校

<普通教育>
国語、数学、理科、地理歴史公民、保険体育、芸術、外国語、家庭

<専門教育>
外国語、家庭、農業、工業、商業、水産、音楽、美術、看護、理数、体育、英語、その他特に必要な教科

<教科以外>
特別活動

緑字は新しく追加された教科

刊行後の成行き

このときの改定では「新しい学力観」が提唱されました。子どもの学力とは、知識の量ではなく、「自ら学び、自ら考える」力だというものです。そして、「社会の変化に主体的に対応できる」子どもを育てようという方針を打ち出しました。
具体的には、授業態度や問題関心のあり方をみる「観点別評価」や、個人個人の到達度を評価する「絶対評価」が取り入れられることになりました。


また、学校でも週休二日にしたらいいのでは、という意見が強まり、1992年から月一回で「学校週五日制」を導入しました。


そして1990年代はバブルが崩壊し、世の中は大不況の時代に突入しました。これまでに考えられなかったような大企業の倒産やリストラによる大量解雇は、終身雇用制や年功序列型賃金制度などの日本型経営を完全に崩壊させました。学校現場では「学級崩壊」や非行歴のない子どもの犯罪も大きな社会問題となりました。



第6回全面改訂:「生きる力」の育成(ゆとり路線さらに強化)

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】2000年にオーストラリアでシドニーオリンピック開催

改訂日

1998年~2000年(平成10~11年)

概要

ゆとりの中で「生きる力」をはぐくむことを重視し、完全学校週5日制の導入と教育内容の厳選が行われました。

教育内容の厳選大幅に削減
総合的な学習の時間」を創設
完全学校週5日制が実施

実施日

2002年(平成14年)4月 実施(小学校)
2002年(平成14年) 実施(中学校)
2003年(平成15年) 実施(高等学校)

刊行内容

・小学校3年生以上に総合的な学習の時間を創設
・完全学校週5日制が実施
・小学校3年生以上においても合科的な指導を進める
・中学校の技術・家庭の選択項目「情報とコンピュータ」でプログラミングについて述べられた
・高等学校の数学の選択項目「数学B」と、情報の選択項目「情報B」でプログラミングについて述べられた

小学校

<教科>
国語、算数、理科、社会、生活、音楽、図画工作、体育、家庭

<教科以外>
道徳、特別活動、総合的な学習の時間

中学校

<必修教科>
国語、数学、理科、社会、音楽、美術、保険体育、技術・家庭、外国語

<選択教科>
その他特に必要な教科

<教科以外>
道徳、特別活動、総合的な学習の時間

高等学校

<普通教育>
国語、数学、理科、地理歴史、公民、保険体育、芸術、外国語、家庭、情報

<専門教育>
家庭、農業、工業、商業、水産、音楽、美術、看護、理数、体育、英語、情報福祉、その他特に必要な教科

<教科以外>
特別活動、総合的な学習の時間

緑字は新しく追加された教科

刊行後の成行き

今回の改訂では、「少年犯罪の凶悪化」や将来像を描けない子どもの増加を受けて、心の教育を重視し、これまでの「ゆとり」路線をさらに推し進め、授業時数も大幅に削減、それに伴って教える内容も3割削減して、今度こそ学校に「ゆとり」をもたらそうとしました。

そういった本格的な削減内容の学習指導要領の実施が近づいてくると、
「円周率は3.14ではなく3になる」
「台形の公式が教科書から消える」
といった、広告などのあおりもあって、学力低下の不安感が高まっていき、導入目前になって「学力低下」論争へと発展して行くことになりました。


この論争は、最終的には「ゆとり」教育は学力低下になるということにされ、文科省は緊急アピール「学びのすすめ」を出し、そこで「確かな学力の向上」が訴えられ、また「学力低下」を危惧する保護者に対しても、学力が低下しないように最大限の努力をする旨が宣言されました。そして学習指導要領は予定通り実施されました。



第7回全面改訂:「生きる力」の育成(脱ゆとり)

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】2008年に中国で北京オリンピック開催

改訂日

2008年~2009年(平成20~21年)

概要

「生きる力」をはぐくむという理念のもと、知識や技能の習得とともに思考力・判断力・表現力などの育成を重視していきました。また、言語や理数の力などをはぐくむための教育内容を充実させ、授業時数も増加させていきました。

授業時数の増加

指導内容の充実

小学校外国語活動の導入


実施日

2011年(平成23年)4月 実施(小学校)
2012年(平成24年) 実施(中学校)
2013年(平成25年) 実施(高等学校)

刊行内容

①授業の時間数が増加

<小学校の週あたりの時間数>
国語社会算数理科体育の時数を10%程度増加
・コマ数を、低学年で週2コマ、 中・高学年で週1コマ増加

<中学校の週あたりの時間数>
国語社会数学理科外国語保健体育の時数を実質10%程度増加
・週当たりのコマ数を各学年で週1コマ増加

②学ぶ内容が充実

・思考力・判断力・表現力を育みます
・理数の力を育みます(算数数学理科
・伝統や文化に関する教育を充実します(国語社会算数音楽美術技術家庭
・武道を必修化(保体/中1・2)
総合的な学習の時間に地域の伝統と文化を追加(小)
外国語教育を充実します
小学校に外国語活動を導入、聞くこと、話すことを中心に指導(小5・6)
中学校では聞く・話す・読む・書く技能を総合的に充実(語数を増加〔900語程度まで→1200語程度〕、教材の題材を充実)
道徳教育を充実します
・体験活動を推進
・先人の伝記、自然など児童生徒が感動する魅力的な教材を充実
・道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実
・体験活動を充実します(集団宿泊活動、自然体験活動、職場体験活動など)
・健やかな体を育てます
・社会の進展に対応した教育を行います
・中学校の技術・家庭の「技術分野」の中の必修項目としての「情報に関する技術」でプログラミングについて述べられた
・高等学校の情報の選択項目「情報の科学」でプログラミングについて述べられた

 

小学校

<教科>
国語、算数、理科、社会、生活、音楽、図画工作、体育、家庭

<教科以外>
道徳、特別活動、総合的な学習の時間、外国語活動

中学校

<教科>
国語、数学、理科、社会、音楽、美術、保険体育、技術・家庭、外国語

<教科以外>
道徳、特別活動、総合的な学習の時間

高等学校

<共通教科>
国語、数学、理科、地理歴史、公民、保険体育、芸術、外国語、家庭、情報

<専門教科>
家庭、農業、工業、商業、水産、音楽、美術、看護、理数、体育、英語、情報、福祉、学校設定教科

<教科以外>
特別活動、総合的な学習の時間

緑字は新しく追加された教科

刊行後の成行き

結局、「ゆとり」教育によって学力が低下しているかどうかはわからないままでした。
この改訂では、小学校の授業時間はは1割増加、小学校5、6年では新たに外国語活動が新設されました。一方、ゆとり教育の目玉だった総合的な学習の時間は、週一時間減らされました。



第8回全面改訂:「生きる力」の育成(新しい時代に必要な3つの柱を育む)

日本の教育の歴史!学習指導要領改訂による教育の移り変わりを時代背景とともに解説!
【時代背景】令和の時代へ

改訂日

2017年~2018年(平成29~30年)

概要

これまで大切にしてきた,子供たちに「生きる力」を育む,という目標は変得ることなく、社会の変化を見据え,新たな学びへと進化を目指します。

三つの柱を育む

アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善

カリキュラム・マネジメントの推進

小学校外国語科の新設等


実施日

2020年(令和2年)4月 実施(小学校)
2021年(令和3年)4月 実施(中学校)
2022年(令和4年)4月 実施(高等学校)

刊行内容

①何ができるようになるの?(資質・能力の三つの柱)
・学びに向かう力、人間性など
・知識及び技能
・思考力、判断力、表現力など

②どのように学ぶの?(主体的・ 対話的で深い学び)
主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点から「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」も重視して授業を改善します。

③何を学ぶの?

小学校
外国語(5,6年)
特別の教科 道徳

中学校
特別の教科 道徳

高等学校
理数
総合的な探究の時間

④新たに取り組むこと,これからも重視することは?
プログラミング教育
外国語教育
道徳教育
言語能力の育成
理数教育
伝統や文化に関する教育
主権者教育
消費者教育
特別支援教育

小学校

<教科>
国語、算数、理科、社会、生活、音楽、図画工作、体育、家庭

<特別の教科>
道徳

<教科以外>
特別活動、総合的な学習の時間、外国語活動

中学校

<教科>
国語、数学、理科、社会、音楽、美術、保険体育、技術・家庭、外国語

<特別の教科>
道徳

<教科以外>
特別活動、総合的な学習の時間

高等学校

<共通教科>
国語、数学、理科、地理歴史、公民、保険体育、芸術、外国語、家庭、情報、理数

<専門教科>
家庭、農業、工業、商業、水産、音楽、美術、看護、理数、体育、英語、情報、福祉、学校設定教科

<教科以外>
特別活動、総合的な探究の時間

緑字は新しく追加された教科


新しい学習指導要領については、下記ページで詳しく解説しています。



まとめ

学習指導要領の歴史について解説しました。
1947年に刊行されて、時代に合わせて計8回も改訂されていました。


こうして見て行くと、日本の教育は「ゆとり教育」と「詰め込み教育」を行ったり来たりしていることがわかります。
アメリカ型の「ゆとり」教育でスタートしたと思ったら、もっと知識が必要なのではということで、日本型の「詰め込み」教育へ。「詰め込み」教育が社会問題を産んだら、「ゆとり」教育へ。「ゆとり」教育は学力低下するのではないかということになったら「脱ゆとり」へ。


世の中がより複雑に変化して行く中で、8回目の全面改訂の後はどのような流れになって行くのでしょうか。



参考書籍・記事等



教育改革に関する記事はこちら

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