STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説
STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説
  • 学校でのSTEAM教育はどこでやるの?
  • 学校の成績や入試と関係してくるの?
  • 実態がよくわからない。将来本当に必要なの?

こういった疑問に答えます。

STEAM教育が話題となってますが、学校ではどの程度真剣にSTEAM教育に取り組んでいくのか、いまいちわからないです。またSTEAM教育は、学校教育の教科というわけでもなさそうです。いったいどこで行われるのかよくわかりません。


そこでこの記事では、STEAM教育が学校教育のどこに落とし込まれているのかを深堀していきます。また、STEAM教育と学校成績や評価との関係、受験との関係についても解説していきます。




1.文部科学省のSTEAM教育の定義は「人材と市民の育成」

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

文部科学省中央教育審議会の教育課程部会でのSTEAM教育の定義は、
  • ・人材の育成
  • ・市民の育成

となっています。 STEAM教育や教科等横断的な学習を実施するということは、学習意欲の薄い生徒にとっては特に重要です。
生徒の能力や関心に応じたSTEAM教育を推進する必要があります。


2.STEAM教育は、情報教育の延長

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

これからの教育には端末を使った教育が必要であり、その実現の為には、学校でも1人1台端末が必要(GIGAスクール構想)と議論し始めた頃、10年に1度の学習指導要領の改訂時期も重なり、教育の情報化および情報教育が推進されるようになりました。


情報教育の目標としての「情報活用能力」の育成

新学習指導要領では、「情報活用能力」を学習の基盤となる資質・能力と位置付け、以下のように図るようにしました。
  • ・教科等横断的にその育成を図る
  • ・その育成のために必要なICT環境を整え、それらを適切に活用した学習活動の充実を図る


さらに、新学習指導要領の下で教育の情報化が一層進展するよう、学校・教育委員会が実際に取組を行う際に参考となる「教育の情報化に関する手引」を作成しました。
「教育の情報化に関する手引」の概要
  • 第1章 社会的背景の変化と教育の情報化
  • 第2章 情報活用能力の育成
  • 第3章 プログラミング教育の推進
  • 第4章 教科等の指導におけるICTの活用
  • 第5章 校務の情報化の推進
  • 第6章 教師に求められるICT活用指導力等の向上
  • 第7章 学校におけるICT環境整備
  • 第8章 学校及びその設置者等における教育の情報化に関する推進体制



情報活用能力の「3つの観点」「3つの柱」に該当するSTEAM教育


情報活用能力の3つの観点(内容・学習活動の視点)

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説



情報活用能力の3つの柱(資質・能力の視点)

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説


上の通り、STEAM教育は、情報活用能力の「3観点」と「3つの柱」において、密接に関連しており、情報教育の延長として捉えられます。


3.STEAM教育を実現させるには、教科等横断的な視点が必要

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

各教科には、それぞれ三つの柱があり、その下には、「学習の基盤となる資質・能力」があります。 STEAM教育においても、特性の基となるのはこの「学習の基盤となる資質・能力」となります。

つまり、STEAM教育も各教科も根底には「学習の基盤となる資質・能力」の育成があるので、 STEAM教育というのは、文理の枠を超えた教科等横断的な視点に立って進めることが重要。
そして、教科等横断的な視点を実現する為には、カリキュラムマネジメントを充実させる必要がある。

例えば、中学校の数学で、錯角とか同位角を求めるとき、
  • ・先生が出した問題をキャプチャする
  • ・補助線を引いて、お互いに考えをいいあう
  • ・クラウドで共有する
  • ・考えの近い生徒、違う生徒などで議論する

というように進めます。
これは情報教育ではなく、数学の教育となりますが、数学教育のプラットフォームでICTを使っていくことで、ICTのスキルが身につき、そのスキルは情報活用能力の一部となっていきます。
こうして情報活用能力は、各教科と横断的に関係し合っています。


4.今までやってこれなかった「生徒の主体的な活動」に力を入れていく

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

  • ・生徒が問題発見する
  • ・それを教師が支援する

これは、学校教育が今まであまりやってこれなかったことです。

各教科の教育内容は、学習指導要領である程度決められていて、題材も教科書で提示されています。
先生方の努力目標は、ユニークな発想で、わかりやすく説明することでした。
よって、問題を生徒が設定するという学習自体はあまりされてきませんでした。

それが、
  • 「総合的な学習の時間」・・・小学校、中学校
  • 「総合的な探究の時間」・・・高校

が始まったことにより、各教科で学んだことと連携させ取り組みをするようになってきました。 しかし、小学校では、大分取り組まれてきてますが、中学、高校では、教科担任制ということもあり、どこからはじめるか?どう分担するか?などの問題もあり進みは遅いのが現状です。

今回の学習指導要領では、「総合的な学習の時間・探究の時間」について力を入れていく方針となってますので、これから変わっていくと予想されます。


5.STEAM教育の取り組み方について

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

STEAM教育はどこからでも始められる

STEAM教育は、どこからでも始められます。また、 例えば、下記のような問題も見方を変えれば、STEAM教育っぽくなっていきます。
  • どこから始めるか?
  • やりやすいところから。

  • 調べ学習に時間がかかる
  • GIGAスクールで調べるのが上手くなっていく。(効率化)

  • 学校行事に時間を取られる
  • 先生主導の精度の高い行事を生徒主導に変えれば、行事がプロジェクトになり、ややSTEAMっぽくなる

上記のように、各教科の範疇を超えてみたり、典型的な解き方と違うやり方を認めてみたりして、少しずつSTEAMに向かっていくことから初めていくといいです。


可視化して共有するのがポイント

  • ①大きいテーマは教師と生徒の合意で設定する。
  • 例えば、sdg’sについて、水環境について、など

  • ②個別課題は子ども達が決める。
  • 何を調べて、どうアプローチして、意見を発表するかなど

  • ③先生は支援のみ
  • 問題設定に対する支援、どう解決するかの支援など

可視化して他の人が参考にできるような形にへの学習環境の設計や、授業の持って行き方がポイント。


6.評価の方法。入試としては評価するのは難しい

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

steam教育は、正誤判定がつけられないものを扱います。
発想も、どれが正しいというのはなくて、多様性が評価されます。

評価項目を断定的に決められないため、今までの学習評価と同じようには語れません。
本質的に重要なのは、いろんな考え方、いろんな解き方、いろんな取り組み方があり、他の生徒が上手くいってるのは、どんな方法なのかということを学び合うのが大事。
いろんな発想や着想が可視化されれば、総合評価としての意味が出てきます。

またsteam教育は、評価する側の価値観に左右されてしまう側面があるから、入試としては評価するのは難しいです。


7.テクノロジーを自覚し問題解決目線を持つ

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

日本は人口減少社会に突入しており、既にあちこちで人手不足が生じています。
子ども達が社会に出る頃には、人手不足が更に深刻となり、今まで人間がやってきたことを、今と同じように人間が担当するのは不可能な世の中になっていきます。
そのため、テクノロジーと共存し、テクノロジーを上手く使いながら、人間は人間でしかできなことをしっかり担当していくことが大事になってきます。

私達の生活の中では、すでにテクノロジーが共存していて、無自覚に利用しています。
STEAM教育では、これを自覚的に見る意識が育てられます。
「もっと良くする方法はないのか?」という問題解決目線を持つことができます。

例えば、「社会科」では、農業のコンバインやトラクターの自動運転化を考えてみる。
STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説
コンバインやトラクターの自動運転化

「家庭科」の住まい方で、高齢者に優しい家にするには、どうしたらいいか考えてみる。 今までは、窓の開け閉めは人がするものという前提で考えられてきたが、テクノロジーを使ってもっと住みやすくする発想を巡らせることもできる。
STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説
スマートホーム

STEAM教育することにより、そういうものの見方ができるようになります。
とくに高等学校における教科等横断的な学習の中では、重点的に取り組むべきものであり、小中学校でも積極的に取り組むべきです。


8.教育格差の縮小が期待できるSTEAM教育

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

例えば、プログラミング教育は、プログラマーを育てる教育ではありません。プログラムはどう作られているのかを知るための教育です。なので学習する言語はなんでもいいのです。
論理的な考え方が必要であり、命令を与えることでコンピュータにやってもらうという感覚がつかむことが必要なのです。
そういう体験を全ての子どもに全ての学校でさせておきましょうというのが、プログラミング教育の主眼です。

プログラミングについては、興味があるなら家庭でも取り組むことはメリットが多いです。
ただ、教科として通知表がつくわけではないので、成績アップとは関係ありません。 スイミングとか、ピアノなどのように、習い事として子どもが夢中になれるものを伸ばすという意味では、その子の自信につながり、活躍できる場を提供してあげられるので、とても有効です。

STEAM教育は、習い事としてプログラミング力とは違い、家庭資本によりSTEAM教育の習い事が受けられない子ども達が、将来不利にならないようにすることは学校教育の役割です。
STEAM教育は、今後学校教育としてより強く推し進められていくでしょう。




9.まとめ

STEAM教育の学校教育での展開について。文部科学省の新学習指導要領との関係についても解説

STEAM教育が話題となっていても、それが学校教育にどう落とし込まれているのかを見てきました。
STEAM教育は、今までの各教科と共通の側面もありますが、教科横断的な視点が大事であり、教育スタイルも主体性を重視した内容となっています。

日本政府が目指すSociety5.0の社会での学校教育(学校ver.3.0)は、今、実施されている、GIGAスクールや、学習指導要領の先にある「新しい学び」です。そして、まもなく訪れるその時代では、STEAM教育は人間の強みを活かした価値創出の為のプログラムとして重視されるようになっているのです。



参考書籍・記事等




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